はっちのバーカブログ

日常に体験したネタ話、日常にふと感じた事。毎日見る夢の話。そしてトレンドにバーカと一喝します。

はっちの物語

短編ブログ小説~車の中で~part②著はっち


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「おはよう!久しぶりね」

 

彩華の声で僕は我に返った。まさか自分の耳元で彼女の声の振動を捉えるなんてという馬鹿みたいなことを心の中で言った。

 

僕は首を少し横に振って息を吸って冷静になろうとした。

 

「あっ……おはよう!」

 

すぐ隣に見えた彼女の優しい横顔。僕はばれない様にまた深いため息をついた。

 

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その後で先生が「それじゃあ出発しようか」と言ったところで僕たち全員は目的地へと向かった。

 

時間は意識してなかった。夢を見てる感覚だった。それは大袈裟だと自分で笑っていた。

 

出発してからどれくらいの時間が経ったのだろうかと思う。時計を見ていなかったからだ。

 

ずっと車内では本当にくだらない話で盛り上がっていた。

 

「この前は本当にすごかったよな?」

 

慶太が梓に本当にすごかったんだといわんばかりにそう言った。梓は「もうその話はいいって……」と。

 

慶太と梓はかれこれ学生時代から2年の付き合いだった。ずっと彼氏、彼女ということだ。

 

「本当に仲がいいよね」

 

僕は羨ましそうに2人に言った。本当に素直にそんな気持ちだった。

 

「祐君は彼女いないの?」

 

隣に居た彩華が違和感なく僕に聞いてきた。いちいちその声が涙腺を抉るようだった。

 

「いや……彼女はいないけど」

 

彩華との出会いは大学2年のときだった。出会いを話せば長くなる。

 

簡単に言えば僕の一目惚れだった。彼女のことをずっと見ていた気がする。

 

あれから約3年の月日。その月日でお互いのことを深く知ることもなかったし、浅くともなかった。

 

一応、僕は彩華の恋愛事情は知らないことにしていた。いや、本当は知らなかった。現実を知りたくはなかったからだ。

 

現地へ向かう途中、その間ずっと僕は彩華の体温を肌で感じていた。

 

分厚い服を着ていたからそこまでは分からなかったのかもしれないが、僕は確かに彩華の体温を感じていた。

 

1分よりも3分、そして20分よりも1時間と少し。徐々に上がる彼女の体温が心地よかった。

 

手を伸ばせば僕の手は彩華に届いた。抱きしめようと思えばそれも出来た。静かに僕は想いを募らした。

 

彩華に柔らかくて淡いピンク色を渡すかのように、そっと。なぜなら僕はこの日、彩華に告白をするつもりだったからだ――

 

「本当に綺麗なところね」

 

「うん。とっても綺麗」

 

彩華の言葉に梓が返事をするといつだって慶太がふざけた。

 

「梓がそんなこと言うなって!絶対似合わないもん。はっはっは!」

 

「何が?後で殴るから!!」

 

そんな2人の光景を見て彩華が微笑んだ。僕も彼女の真似をするように同じように微笑んだ。

 

いつか近い将来、僕も彩華とこんな事で笑ったり、怒ったり出来るのだろうか。

 

こんなにくだらない事でも、本当に特別なんだと租借するように僕は思った。

 

何となく彩華の横顔を凝視していると不自然な僕の視線に気づかれた。

 

「どうしたの?ずっと私のこと見てるけど。私の顔に何かついてる?」

 

ハッと我に返った時には遅かった。僕は考えとは別の事を口走った。

 

「いや、なんか久しぶりに見ると特別なんか可愛いなと思ってさ。化粧の感じとか……」

 

女性に対して化粧の事を言うのはどうだろうか。アドリブのきかない僕だった。

 

「ありがとう。嬉しいな」

 

でも彩華は喜んでくれたようだった。僕はその笑顔を初めて見た気がした。なぜだかは分からないけれどそう思った。

 

確かな笑顔は僕だけにしか見せない笑顔だと勝手に解釈した。いつかの恋だって気持ちは勝手だった。

 

それから体と言葉、表情と空気で僕は彩華に対して大好きだという想いを彼女に曖昧だけれど見せた気がする。

 

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短編ブログ小説~車の中で~part③著はっち

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