はっちのバーカブログ

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はっちの物語

短編ブログ小説~車の中で~part③著はっち


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「先生、あとどれくらいで着くの?」

 

「あと1時間くらいかかるかもしれないな。だから寝てていいぞ」

 

「それじゃあ、俺寝るわ!」

 

慶太が言ったあと車の中で鳴っていたBGMが変わった。静かなヒーリング系の音楽だった。

 

その間もずっと僕の右半身は彩華に触れていた。僕はいつだって気を使った。

 

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それは彼女に優しくしたくて堪らなかった気持ちだった。話がしたいという気持ちも含んでいた。

 

「大丈夫?狭くない?」

 

その僕の言葉に「えぇ。大丈夫よ」と彩華の優しくて強い声。「そっか」と言う僕の形式的な言葉。

 

彩華にもし彼氏がいようと好きな人がいようと僕は彩華が好きだった。

 

基準の無い100以上の気持ちで彩華を僕のものにしたかった。

 

「なんかあれだよね。いつ見ても祐君ってオシャレだよね。学生時代からずっと」

 

「そうかな?結構普通なんだけどね」

 

昨日までの疲れだったのか慶太は気持ちよく寝ていた。梓も静かに眠っていた。

 

先生はときどき僕達の会話に入ってきたけれど、ほとんどの時間は車の運転に神経を集中させていた。

 

「あ~あ。失敗したなあ。私も、もっとオシャレな格好をしてきたらよかった。けっこう歩くと思ったから動きやすい服装にしたんだ」

 

「いやいや、十分オシャレだって!可愛すぎるくらいだよ!」

 

僕はこの日の為に、彩華に見てもらう為にこの服を選んだつもりだった。

 

でもそんな事は彩華は知らない。そんな彼女にとって僕の服装なんてどうでもいいことだ。

 

「さっきも聞いたけど祐君って本当に彼女はいないの?彼女がいなくても好きな人くらいはいるでしょ?職場の人とか」

 

「……うん。まぁいることはいるけど。でもどうしてそんな事を聞くの?」

 

彩華から異性の話をされる度に僕の全身の神経が傷つく。両頬が引き締まる。

 

「ほら!やっぱり好きな人いるじゃん。でもどんな人なんだろう。祐君は年上の女性が似合いそうだよね。昔からそう思ってたんだけど」

 

やめてくれ!!

 

そう言いたかった。

 

「僕の好きな人は大学生時代から変わってないよ。それじゃあ、彩華は好きな人とかいるの?彼氏はいたりする?」

 

僕はなぜそんな事を聞いたのか理解が出来なかった。一気に全身の血の気が引いた気がする。

 

現実を知るということを――

 

「秘密だよ」

 

黄色い沈黙が流れた。僕はほっとした。いや、これでよかったんだと思った。秘密でいいんだと。

 

それからもずっと静かに車は進んだ。気がつけば僕たちも慶太たちのように眠っていた。

 

運転する先生の気持ちを無視して――

 

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短編ブログ小説~車の中で~part④著はっち

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