はっちのバーカブログ

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はっちの物語

短編ブログ小説~車の中で~part⑤著はっち


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現実はいつだって残酷だった。僕は気持ちを伝えるまでもなく失恋してしまった。

 

失恋といえばこの場合は大袈裟になるのだろうか。でもそれなりに僕は……――

 

「……そっか」

 

悲しい声を出した。それは自分でも分かったし、わざと悲しく言ったのかもしれない。

 

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「どうしたの?なんか急に元気なくなった気がするんだけど。大丈夫?ごめんね。私のせいだよね。狭くて本当にごめん」

 

「べ……別にそんなんじゃないよ」

 

ずっと僕の視線は窓の向こうの海を見つめていた。水平線が歪んで見える。

 

青い海は波を見せてくれて、青い空は真っ白な心に帰してくれたけど自分が自分じゃなくなってく感じがした。

 

「もうすぐ着きますよね先生?」

 

明るい声で彩華が言った。それもまた僕にとっては辛い現実だった。

 

何がその声を明るくするんだろうかと。その理由はあれだろ?と皮肉なことを思う僕。

 

僕はつくづく器の小さい男なんだろう。性格の悪い男なんだろう。きっと彩華に彼氏がいなくても僕なんて振り向いてもらえなかったんだと思う。

 

「もうすぐ着くと思うよ」

 

当たり前のことかもしれないけれど恋は自分1人では成立しないと思った。その言葉を何回も何回もかみ締めた。

 

それならどうしたらいいのだろうか。どうしたら彩華の心を僕のものに出来たんだろうか。

 

そんな疑問符が頭をぐるぐると回遊した。何回も難解でも。

 

僕は追加するように幼稚な考えを施しては両手の拳をギュッと握り締めた。同じように奥歯をギュッとかみ締めた。

 

僕は車の中で1人で泣いていた。どうにもならない失った恋が目の前にあるのだ。

 

手を伸ばせば大好きな人がいる。手を伸ばせば彩華に触れることが出来る。

 

でもすごく遠く感じた。それは夜になれば見える星たちよりも遠くに感じたのだ。

 

何光年離れているのか分からない。意識が遠くなるようなそんな感覚。

 

僕は下唇をかみ締めた。しだいに親指を包むように拳を作った。手の中に汗が滲み始める。

 

かなりひどい頭痛もした。呼吸も苦しかった。もうどうしようもなかった。

 

色々と素敵な世界を描いていたことを思うだけで心がぐちゃぐちゃになっていく。

 

ガラスの世界だったようだ。割れてすべて地面に落ちた。すごい音を立てて。

 

急に何もしたくなくなった。彩華も見たくない。この世界から逃げたい気分にもなった。

 

すべて僕しか知らない気持ちなんだ――

 

「泊まる旅館の料理楽しみね」

 

嬉しそうな無邪気な彩華の表情をまた僕は見てしまった。とても素敵な笑顔だった。

 

「……楽しみだよ」

 

僕はぎこちなく言葉を出した。こんな僕なのに彼女は太陽のような笑顔を返してくれた。

 

本当の幸せとは何かを考えだした。それもなぜだかは分からなかった。

 

これが本当の恋なのかもしれないと思ったのだろうか。自分が分からなかった。

 

僕は彼女に捧げたかった想いをそっと心の奥に仕舞いこむ準備を始めた。

 

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短編ブログ小説~車の中で~finale著はっち

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